愛を知る小鳥
社長と潤は先に2人だけで主要な挨拶回りに行っている。あかねがこの場にいてくれることは、美羽にとってこの上なく心強いことだった。
「…あの男、どこにいるのかしらね…」
「……」
美羽の顔に陰りが宿る。あの男は間違いなくこの場に来ているはずだが、まだ一度もその姿を見かけていない。最初は一緒にいた潤もその姿を探したが、結局見つからずじまいだった。人が多いから当然なのかもしれないが、相手があの男だけに言いようのない不気味さを感じていた。
「大丈夫よ美羽ちゃん。私もいるし、何よりも専務があなたから離れないわ」
曇った表情の美羽の肩に手を置いてあかねは努めて明るく振る舞う。美羽も不安を振り払うように笑顔で頷いた。
「美羽」
「潤さ…専務」
しばらくすると人混みをかき分けながら潤が戻ってきた。その姿を見ただけで一気に体から緊張が解けていく。やはり彼の存在は絶大だ。
「御堂、悪かったな。おかげで安心して回れたよ」
「とんでもないです。お役に立てたのであれば何よりです。私は一旦社長の所に戻りますけど、また必要があればいつでもお声をかけてください」
「あぁ、本当に助かるよ。ありがとう」
「じゃあ美羽ちゃん、また後でね」
「はい。本当にありがとうございました」
ニコニコと手を振りながら人集りの向こうへ消えていく後ろ姿を二人で見送る。
「何か食ったか?」
「いえ」
「だいたいの挨拶も済んだし、せっかくだから何か食うか」
「そうですね」
互いに微笑み合うと立食カウンターへと向かった。
「…あの男、どこにいるのかしらね…」
「……」
美羽の顔に陰りが宿る。あの男は間違いなくこの場に来ているはずだが、まだ一度もその姿を見かけていない。最初は一緒にいた潤もその姿を探したが、結局見つからずじまいだった。人が多いから当然なのかもしれないが、相手があの男だけに言いようのない不気味さを感じていた。
「大丈夫よ美羽ちゃん。私もいるし、何よりも専務があなたから離れないわ」
曇った表情の美羽の肩に手を置いてあかねは努めて明るく振る舞う。美羽も不安を振り払うように笑顔で頷いた。
「美羽」
「潤さ…専務」
しばらくすると人混みをかき分けながら潤が戻ってきた。その姿を見ただけで一気に体から緊張が解けていく。やはり彼の存在は絶大だ。
「御堂、悪かったな。おかげで安心して回れたよ」
「とんでもないです。お役に立てたのであれば何よりです。私は一旦社長の所に戻りますけど、また必要があればいつでもお声をかけてください」
「あぁ、本当に助かるよ。ありがとう」
「じゃあ美羽ちゃん、また後でね」
「はい。本当にありがとうございました」
ニコニコと手を振りながら人集りの向こうへ消えていく後ろ姿を二人で見送る。
「何か食ったか?」
「いえ」
「だいたいの挨拶も済んだし、せっかくだから何か食うか」
「そうですね」
互いに微笑み合うと立食カウンターへと向かった。