愛を知る小鳥
ドッ……!
「…何?」
突然体に感じた衝撃に振り返る。見ればすぐ真後ろで狂気に歪んだ男が笑いながら自分を見上げていた。
「ふはははははあっ! ただじゃ終わらねぇぜ…!」
そう言いながら美羽の方に顔を乗り出すと、続けて叫んだ。
「おいわかったか? お前は疫病神なんだよっ! お前にかかわる人間はすべて___ぐはぁっ!!」
回し蹴りを正面からくらった園田の体は再び吹き飛び、ついにその場に倒れ込んで動かなくなった。その勢いで潤の体も地につく。起き上がろうとしても何故か力が入らない。
早く彼女の元へ行かなければ。
「いやっ、いやぁあああああああっ!!!!」
どうした…? 何故彼女は叫んでいる…?
ふいに動かした目線の先に大量の血が流れているのが見えた。
なんだこれは?
どこから流れている…?
微かな違和感を感じ背中に手を伸ばすと、ぬるりとした感触が襲ってきた。手のひらを見ればおびただしい量の血がついている。
「なんだこれは…?」
こんなことはいいから早く彼女の元へ。
彼女が待っている。
これから幸せだけが待っているんだ。
早く、早く……
「じゅんさああああんっ!!!!」
最後に聞こえたのは彼女の涙で滲んだ悲鳴だった。