愛を知る小鳥
15 サヨナラ
寒い…寒くて仕方がない…
潤さん、どこにいるの…?
早くここへ来ていつもみたいに抱きしめて。
そしてあっためて…
寒くて凍えてしまうよ…
「…ちゃん………美羽ちゃんっ!!」
ぼんやりした視界に人影が浮かんでくる。
長い時間をかけてようやく認識できたその人物は…
「あかねさん・・・」
「あぁっ、良かった…!! ずっと目を覚まさないからどうしようって…!」
そこまで言うと彼女は顔を伏して泣き崩れた。何故彼女は泣いているのだろう。そもそも自分は今どこにいるのだろうか。考えようとしても頭がぼんやりして働かない。
「あかねさん…ここは…?」
不明瞭な思考の中でも、今いる場所が身に覚えのない所だということだけはなんとなくわかる。あかねは涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げると、ゆっくりと説明し始めた。
「まずここは病院よ。…美羽ちゃんはあの男に…。あれからあなたはひどい高熱が出てずっとうなされてたの。丸2日目を覚まさなくてこのままだったらどうしようかとっ…」
そこまで話すと再び泣き出した。
…そうだ。私はあの悪魔と対峙したんだった。
ひどい目にあったけれど、でも…
そこまで思い出してハッとする。
「あかねさん、潤さん、潤さんは…?!」