愛を知る小鳥
そうしてしばらく互いのぬくもりに酔いしれると、潤は徐に美羽を抱きかかえて立ち上がった。

「潤さん…?」

突然お姫様抱っこをされて驚くやら恥ずかしいやら。

「今日はこの後区役所に行くぞ。用紙をもらいに行こう。でもまずはシャワーだな」

「えっ?!」

そのままスタスタと部屋の外へ出ようとする潤を慌てて引き止める。

「あ、あのっ、潤さん! 私一人で行けますから!」

「何言ってんだ。一緒に入るんだよ」

「えっ…えぇっ??! む、無理です無理です! 絶対に無理ですっ…!!」

「なんでだよ。今さらだろ? もう隅々まで全部見たんだし」

「ひィっ?! たっ、たとえそうだとしてもっ、無理ですからっ…!」

全身で暴れ回る美羽を落とさないように抱き直すと、潤は足を止めて美羽の眼前まで顔を近づける。そうして驚いて息を呑み込んだ美羽に向かってニヤリと妖艶な笑みを浮かべた。

「忘れたのか? お仕置きだって言っただろ?」

「……えっ」

お仕置きという言葉に美羽の体がピタッと止まる。

「…それに。指輪まで準備していた俺を捨てようとしたんだから、もう一個お仕置きが増えたな?」

「っうぅっ…! そ、それは…」

ぐうの音も出なくなってすっかり大人しくなった美羽の姿に満足そうに頷くと、潤は再びバスルームへと歩き出した。

「安心しろ。無理させた分、今日はうんと優しく世話してやるから。頭のてっぺんから足の指先まで全部、お前は風呂場でも何もしなくていいからな?」

「ひっ…! そ、それだけは勘弁してください、潤さん~~~っ!!」

慌てふためく声と軽快な笑い声が廊下の向こうへと消えていく。





あなたとなら、どんな未来も描いていける。

今日も、明日も、ずっとその先も、また新たな1ページを______




【完】
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