愛を知る小鳥
「わぁっ、かわいい…!」

目の前の小さな姿を見た瞬間、美羽の顔が綻ぶ。

「もうすぐ二ヶ月になるの。茉奈です。ヨロチクネ!」

「茉奈ちゃん…初めまして。こちらこそよろしくね」

指先でそっと赤ん坊の手に触れた瞬間指をぎゅっと掴まれ、その力強さと確かな温もりに胸が熱くなる。

「かわいい…天使ですね」

「そうなの。親バカって言われても可愛くて仕方がないわ」

「ふふっ、当然のことだと思いますよ」

大成が席を立って近づいてくるとなおの手から赤ん坊を受け取り、愛おしそうにその胸の中に包み込む。それだけで素敵なパパの絵になっている。

「美羽ちゃんもあっという間にママになるんじゃない?」

「えっ?」

「だってもう入籍もしたんだし、いつできてもおかしくないでしょう?」

「そうだな。潤の惚れ込み具合から見るにそう遠くない話だろうな。…あ~でも、しばらくは独占したいとか何とか言って多少先延ばしにされる可能性もあるな。ねっ?」

そう言いながら美羽の顔を覗き込むと、周囲の予想通り全身を真っ赤にして硬直していた。

「あ~もう、こういうところ女から見てもツボを刺激されるわ。大成の言うとおり先延ばしの方かも」

「お前らほんとにアホか…美羽には免疫がないんだからそれくらいにしておいてやれ」

いつの間にか近くに来ていた潤は美羽の隣に立つと、二人をジロリと睨んだ。
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