愛を知る小鳥
「はは、悪い悪い。彼女がお前と正反対であまりにも純粋だからつい…ごめんね、美羽ちゃん」

「あっ、いえ、大丈夫です」

「ごめんねだけでいいのにいちいちお前は一言余計なんだよ」

「俺は嘘は言ってないだろ。純情なんてお前に一番似合わない言葉だったんだから。そんな人間がこんなに浄化されるんだから、人生って何が起こるかわかんないよな」

潤は苦虫を噛みつぶしたような顔をしているが反論はできないらしい。

「…ふふふっ」

そんな二人のやりとりを見ていた美羽が思わず吹き出すと、その声に一斉にこちらに目線が集まった。

「…あ、ごめんなさい。でもあまりにも皆さん仲がいいから…」

「仲がいいのか? 俺はいじめられてる気分だぞ」

「おいおい、それは心外だな」

「でも潤さんがこのお二人のことが大好きだっていうのが雰囲気から凄く伝わってきますよ?」

「……」

美羽がニコニコ微笑みながら放った真っ直ぐな言葉が潤にはむず痒くて仕方がない。

「あれ? 藤枝君なんか赤くなってない?」

「お、ほんとだ。お前カワイイ奴だな。やっぱり美羽ちゃんとお似合いだぞ」

「っうるせーよ! あ~~もうお前達は本当にっ!」

そうして軽快な笑い声がいつまでも響き渡った。




「じゃあ、宜しく頼むな」

「あぁ、任せとけ。美羽ちゃん、またね」

「美羽ちゃん、またいつでも遊びに来てね。待ってるから」

「はい! ありがとうございます。本当に宜しくお願いします」

あれからしばらく過ごしてから、赤ん坊にも見送られながら潤と美羽は帰路についた。

「楽しかったですね」

「そうだな」

帰りの車内で美羽は今日のことを思い出しては楽しそうに話している。潤にとっても彼らは数少ない大切な友人だが、美羽にとってもそうなることが嬉しかった。ずっと孤独だった彼女の世界が自分と一緒にいることで少しずつ広がっていく。

「…あそこに寄って帰ってもいいか?」

「え? …! はいっ、是非!」

潤の言いたいことがわかった美羽は、満面の笑みで頷いた。
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