愛を知る小鳥
ビルを出てすぐのところにあるカフェで二人は向き合うように座っていた。女性はどこかそわそわ落ち着かない様子で、何度も美羽の顔を伺っている。目があった瞬間気まずそうにしているが、対照的に美羽はニコッと微笑んだ。
「初めまして。私は専務の秘書をしています…藤枝美羽といいます」
「えっ?」
その言葉に驚きの声をあげる。
「え…? だって、さっき香月って…」
「はい。仕事の時は旧姓のままなんです。だから…」
「も、もしかして…?」
信じられないという様子の女性に、美羽はゆっくりと頷いた。
「はい。三ヶ月前に潤さんと入籍しました」
女性は驚きの余り固まってしまった。美羽の薬指に輝く指輪を見て、ようやくそれが真実だと理解したようだ。美羽は固まる姿がまるで普段の自分を見ているようでおかしかった。
「失礼ですが…もしかして彼の妹さんではないですか?」
女性はハッとして顔を上げた。
「間違っていたらすみません。でも彼からご家族の話を少し聞いたことがあって。…それに、彼に少し似ていると思ったんです」
優しく微笑むと、体から力が抜けていくように女性は息を吐き出した。そしてあらためて美羽を見ると、ゆっくり頷いた。
「…その通りです。私は藤枝亜紀と言います。潤兄さんの…妹です」
…やっぱり。直感は当たっていた。
彼女は今日何かしらの目的があって潤に会いに来たのだ。
でもいきなり会っても彼は拒絶してしまうかもしれない。
あの時そう思った美羽は、一度自分が接触してみようと咄嗟に判断したのだ。
「初めまして。私は専務の秘書をしています…藤枝美羽といいます」
「えっ?」
その言葉に驚きの声をあげる。
「え…? だって、さっき香月って…」
「はい。仕事の時は旧姓のままなんです。だから…」
「も、もしかして…?」
信じられないという様子の女性に、美羽はゆっくりと頷いた。
「はい。三ヶ月前に潤さんと入籍しました」
女性は驚きの余り固まってしまった。美羽の薬指に輝く指輪を見て、ようやくそれが真実だと理解したようだ。美羽は固まる姿がまるで普段の自分を見ているようでおかしかった。
「失礼ですが…もしかして彼の妹さんではないですか?」
女性はハッとして顔を上げた。
「間違っていたらすみません。でも彼からご家族の話を少し聞いたことがあって。…それに、彼に少し似ていると思ったんです」
優しく微笑むと、体から力が抜けていくように女性は息を吐き出した。そしてあらためて美羽を見ると、ゆっくり頷いた。
「…その通りです。私は藤枝亜紀と言います。潤兄さんの…妹です」
…やっぱり。直感は当たっていた。
彼女は今日何かしらの目的があって潤に会いに来たのだ。
でもいきなり会っても彼は拒絶してしまうかもしれない。
あの時そう思った美羽は、一度自分が接触してみようと咄嗟に判断したのだ。