愛を知る小鳥
「美羽さん、今日は本当にありがとうございました。美羽さんのおかげでこうしてまた兄と会うことができました」

店を出たところで亜紀が美羽に向かって深く頭を下げ、それに続いて遼と康介もお礼を口にする。

「や、やめてください! 私はなにもしていませんから!」

「いいえ、美羽さん。きっと兄はあなたと一緒になっていなければ私たちに会ってくれることはなかったと思います。…そうでしょう?」

亜紀は潤に直球で聞いた。

「…あぁ、おそらくそうだろうな」

「潤さんっ?!」

何故そんなことを言うのだろうかと美羽は理解できない。

「美羽、俺はお前に言っただろう? お前に出会って全てが変わったって。それまでは周りのことなんか正直どうでも良かったんだ。でもお前に出会ってその考えが根底から覆された」

「潤さん…」

それを聞いていた康介がひゅうっと口を鳴らす。

「へぇ~、兄貴って好きな女性にはそんなに甘いタイプなんだ。なんかイメージと違ったよ」

その言葉に美羽の頬がカーッと赤く染まる。

「…俺より年上だけどなんか可愛らしい人なんだね。俺も狙っちゃおうかな」

「えっ?!」

イタズラっぽく笑う康介に美羽は本気で動揺してしまう。年下とはいえ潤の弟だ。彼と同じでかなりのイケメンの部類に入るだろう。

「おい…」

「なんてね。美羽さん、こうして兄貴と会わせてくれてほんとにありがとう」

屈託のない笑顔でそう言われて、美羽は何故かその笑顔を見ているだけで泣けてきてしまった。

「えぇっ?! なんで泣くの、俺なんかまずいこと言った?」

「ち、ちがっ…」

色んな感情が入り交じってうまく話すことができない。
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