愛を知る小鳥
目的の病院は都内でも有数の総合病院だった。潤の父親が勤めているところでもあり、入院しているところでもある。休日とはいえ、院内はお見舞いに来た訪問客などそれなりの人で賑わっていた。
エレベーターを降りて廊下を進み、やがて亜紀から教えてもらった病室の前へ立つ。
潤の足がそこでピタッと止まった。
先程までの砕けた雰囲気はなりを潜め、どこか緊張感が漂っている。
「……潤さん」
繋いだ手に力を込めると、ゆっくりと潤がこちらを向く。少し考えてからきょろきょろ周囲を見渡すと、潤はそのまま美羽の体を抱き込んだ。
「ち、ちょっと、潤さん?! ここ病院ですよっ…!」
病室は廊下の突き当たりでほとんど人が来ない場所とはいえ、いつ誰に見られるかわからない。予想外の行動に軽くパニックを起こすが、潤はそんなことお構いなしに更に抱きしめる腕に力を入れた。
触れたところから緊張が伝わってくる。美羽はそっと手を伸ばすと、落ち着かせるように潤の背中をポンポンと優しく撫でた。
「……充電完了」
時間にしてほんの十秒程度だっただろうか。
そう言って体を離した潤の顔は、もういつもの自信に満ち溢れた彼そのものだった。
「行こう」
はっきりと力強く放たれた言葉に、美羽も力強く頷いた。
コンコン
「……はい」
扉をノックすると、ややあって中から男性の声が聞こえてくる。二人はそのまま中へと足を踏み入れた。
エレベーターを降りて廊下を進み、やがて亜紀から教えてもらった病室の前へ立つ。
潤の足がそこでピタッと止まった。
先程までの砕けた雰囲気はなりを潜め、どこか緊張感が漂っている。
「……潤さん」
繋いだ手に力を込めると、ゆっくりと潤がこちらを向く。少し考えてからきょろきょろ周囲を見渡すと、潤はそのまま美羽の体を抱き込んだ。
「ち、ちょっと、潤さん?! ここ病院ですよっ…!」
病室は廊下の突き当たりでほとんど人が来ない場所とはいえ、いつ誰に見られるかわからない。予想外の行動に軽くパニックを起こすが、潤はそんなことお構いなしに更に抱きしめる腕に力を入れた。
触れたところから緊張が伝わってくる。美羽はそっと手を伸ばすと、落ち着かせるように潤の背中をポンポンと優しく撫でた。
「……充電完了」
時間にしてほんの十秒程度だっただろうか。
そう言って体を離した潤の顔は、もういつもの自信に満ち溢れた彼そのものだった。
「行こう」
はっきりと力強く放たれた言葉に、美羽も力強く頷いた。
コンコン
「……はい」
扉をノックすると、ややあって中から男性の声が聞こえてくる。二人はそのまま中へと足を踏み入れた。