愛を知る小鳥
意味がわからず不思議そうな顔の美羽を見て笑うと、あかねはコホンと咳払いをして姿勢を正した。

「…実は、私も結婚することが決まりました」

その言葉に美羽はしばらく固まる。だがやがて意味が理解できると、ぱぁっと満開の笑顔を咲かせて喜んだ。

「ほ、本当ですかっ?! わぁ、凄い! 嬉しいっ! あかねさん、おめでとうございます~~!!」

まるで子どものように無邪気に喜ぶ美羽の目には涙が浮かんでいた。あかねはそんな美羽が可愛くてたまらない。

「ありがとう、美羽ちゃん。絶対に美羽ちゃんに一番に知らせようと思ってたの。…実は私が結婚しようって強く思うようになったのは美羽ちゃん達の存在があるからなの」

「え…どういうことですか?」

「彼と長い付き合いをしてきたけど、結婚への決定打がなかなかなかったのよね。でも専務と美羽ちゃんの互いを想い合う強い絆を見てたら、私も彼と家族になりたいって強く思ったの。だからあなた達のおかげなのよ。ありがとう」

「あかねさん…」

思ってもいなかったことを言われて堪らず涙が溢れ出す。
自分はこんなに幸せ者でいいのだろうか。
美羽の姿を見てあかねも感極まって泣けてくる。

「もう、美羽ちゃん! あなたがそんなに泣いてどうするの? まだまだ聞いて欲しい話はたっぷりあるのよ?」

涙を拭いながら笑い合った。

「あ、じゃあ私お茶でも入れてきますね」

「私も行くわ」

だが給湯室へ行こうと立ち上がった次の瞬間、美羽を急激な立ちくらみが襲った。

「あ…!」

グラリと視界が揺れて膝から落ちていく。倒れ込むようにしてなんとか手をついたが、すぐに体を起こすことができない。

「きゃあっ!! 美羽ちゃん?! どうしたのっ、大丈夫?! 誰かっ…!」

「美羽、遅くなって悪かった_____美羽?」

あかねがは真っ青になって途方に暮れているところでちょうど潤が部屋へと入ってきた。入って来た場所からは死角になって見えないのだろう、不思議そうに美羽を探している。
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