愛を知る小鳥
「体は大丈夫か? どこか辛いところはないか?」

「はい。潤さんがずっと気を使ってくださったので平気です」

後ろから抱き込まれた腕に体を預けながら、美羽は空を見上げた。
全てを終えた二人は大成夫妻に心からの感謝を伝え、レストランを後にした。そのまま帰ることもできたが、潤が美羽への体の負担を考え、近くのペンションに泊まっていくことにしていた。例のあの場所からほど近くにあるところに。
チェックインを済ませてしばらく休むと、二人は迷うことなくあの場所へと足を運んでいた。

「今日も綺麗ですね」

「あぁ、そうだな」

二人の頭上に広がる満開の星空。
見ているだけで、そのまま夜空に溶け込んでいくような感覚に包まれる。

「潤さん、今日は本当にありがとうございました。こんなに幸せでいいのかって怖くなるくらい、私は幸せ者です」

美羽がそっとお腹の上に手をあてると、すぐに潤の手がその上に重ねられる。

「それは俺のセリフだよ。美羽、お前のおかげで俺も幸せの意味を知ることができた。ありがとう。…でも、俺たちの幸せはここが終わりじゃない。これからも毎日新しい幸せを発見していくんだ。…これから一生」

「…はい」

美羽は後ろを振り返り潤を見つめた。彼もまた見つめ返してくれる。
互いに優しく微笑み合うと、どちらからともなく唇を重ね合わせた。


「愛してるよ」

「私も…潤さんを愛しています。心から」


そう囁くと再び影は重なった。




これからどんなことがあっても二人なら乗り越えられる。
新たな命と共に新しい幸せを掴んでいける。

出会えた奇跡に感謝しながら、二人は誓いを立てるようにキスを交わした___




【完】
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