愛を知る小鳥
「早速寂しくなってるんじゃないのか?」
「う…そんなことは、ないですよ…?」
言葉とは裏腹に、美羽の眉尻は情けないほどに下がっている。
常に子ども達の誰かが傍らにいる生活を送っている美羽にとって、たとえ一時的であろうとその手が離れてしまうことに寂しさを感じずにはいられないのだろう。
「お前の気持ちもよーくわかるけど。今日だけはあいつらの気持ちをありがたく受け取ろうな」
「…はい、そうですね!」
はにかみながら頷いた美羽に目を細めると、潤は今も変わらぬ輝きを放つ指輪が光る左手に、自分の右手をしっかりと絡めた。
充実した日々は瞬く間に過ぎ、入籍して間もなく授かった宝物も今では4人にまで増えていた。
かつて愛情に飢えていたことなど今では思い出せないほどに、毎日が幸せに満ち溢れている。