愛を知る小鳥
「専務、それではお先に失礼いたします」


一日の業務を終えて専務室へ挨拶へ行った。


「…あぁ」


(なんだろう。専務の機嫌が悪いような気がする…)


「あの、」

「明日。明日のパーティーだがその格好で行くのか?」

その格好とは。
パンツスーツにきちっと纏めた一つ結び、眼鏡スタイルのことだろう。
確かにパーティーに行くには固すぎる身なりだろう。だが…
美羽は潤の目を見据えてはっきりと答えた。

「はい。そのようにさせていただきたいと思っています」

「俺の秘書としてはいささか固すぎると思うのだが?」


一瞬の沈黙が流れる。


「私は飾りとして必要とされているのでしょうか? それとも秘書としての力を必要とされているのでしょうか?」

きっぱりと言い切った美羽を見て潤の口角がニッと上がる。

「もちろん秘書としての力だよ」

「それならば。このスタイルで臨ませていただきたいと思っています。私にはこのスタイル以外できないんです」

「何故?」

「そ、それは…」
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