愛を知る小鳥
3 パーティの夜
大きなホテルの会場を使って行われたレセプションパーティには様々な業種の企業が参加していた。パーティに参加することに当初は消極的であった美羽だが、これだけ多くの企業の人間と接するのならば、秘書としても知識を得るにはいい機会だと思うようになっていた。

「やぁ、藤枝君。この前はお世話になったね」

振り返ると中年の男性が秘書とおぼしき女性を引き連れて潤の所へ歩み寄ってくるところだった。

「今井さん、こちらこそその節はお世話になりました。おかげさまでその後順調に進ませていただいていますよ」

「そうかそうか、それなら良かったよ。…おや、こちらの女性は?」

今井と呼ばれた男性が潤の隣に控えめに立つ美羽の存在に気がついた。


「あぁ、今月から私の秘書を務めているんです。今後何かとお目にかかることもあると思いますので宜しくお願いします」

「秘書の香月美羽と申します。いつも藤枝がお世話になっております。まだ経験が浅く何かと不行き届きなこともあるかと思いますが、宜しくお願い致します」

潤の言葉に続いて美羽は綺麗なお辞儀で頭を下げた。

「こちらこそよろしく頼みます。藤枝君にはいつも助けてもらっていてねぇ。そうか、君が新しい秘書さんか。今までとはまた全く違うタイプの秘書さんなんだね。彼の秘書は何かと大変だと思うが彼をしっかり支えてやってほしい」

「はい。精一杯勤めさせていただきます」


美羽の答えに満足そうに微笑んだ今井はまた別の来客の元へと去って行った。
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