愛を知る小鳥
「なかなか様になってるじゃないか。秘書として初めての場だとは思えないぞ」
今井の後ろ姿を見つめる美羽を横目に見ながら潤が満足そうに呟く。
「しっかり専務を支えるようにとのお達しがありましたので。私が専務の足を引っ張ることのないよう気を張っているんです」
「ふっ、それは頼もしいな」
「今の方はもしかして今井商事の方ですか?」
今井商事は全国でも有数の大手企業である。以前渡された資料には潤が専務職に就く前あたりから何かと業務で関わることが増えていたように思う。
「あぁ。彼には俺が専務になる前からも個人的に色々助けてもらってるんだ。今でこそ専務職についているがそれまでにも結構ゴタゴタすることがあってね。彼がいなければおそらく俺はこの会社には残っていなかっただろうな。俺にとっては父親のような存在なんだ」
「そうなんですね。…心の支えになる存在がいるって素敵ですね」
美羽はニコッと微笑むとどこか遠くを見るように会場の方へ目をやった。
そのどこか儚げな雰囲気に潤は何か掴み所のない違和感を覚える。
「君にもそういう存在はいないのか?」
「私は…私にはいないです。…いなくていいんです」
「それはどういう…」
「潤っ!」
遠くを見つめながら今にも消え入りそうな小さな声で呟いた美羽の顔を覗き込もうとした瞬間、前方から意気揚々と近づいてくる女性が見えた。
今井の後ろ姿を見つめる美羽を横目に見ながら潤が満足そうに呟く。
「しっかり専務を支えるようにとのお達しがありましたので。私が専務の足を引っ張ることのないよう気を張っているんです」
「ふっ、それは頼もしいな」
「今の方はもしかして今井商事の方ですか?」
今井商事は全国でも有数の大手企業である。以前渡された資料には潤が専務職に就く前あたりから何かと業務で関わることが増えていたように思う。
「あぁ。彼には俺が専務になる前からも個人的に色々助けてもらってるんだ。今でこそ専務職についているがそれまでにも結構ゴタゴタすることがあってね。彼がいなければおそらく俺はこの会社には残っていなかっただろうな。俺にとっては父親のような存在なんだ」
「そうなんですね。…心の支えになる存在がいるって素敵ですね」
美羽はニコッと微笑むとどこか遠くを見るように会場の方へ目をやった。
そのどこか儚げな雰囲気に潤は何か掴み所のない違和感を覚える。
「君にもそういう存在はいないのか?」
「私は…私にはいないです。…いなくていいんです」
「それはどういう…」
「潤っ!」
遠くを見つめながら今にも消え入りそうな小さな声で呟いた美羽の顔を覗き込もうとした瞬間、前方から意気揚々と近づいてくる女性が見えた。