愛を知る小鳥
今日の場でも彼女が美羽と言葉を直接交わすことは一度もなかった。というより目を合わせてくることすらなかったと言った方が正解だ。一度だけ彼女の視線を感じたことがあったが、それは潤が美羽の隣に座って話をしていた時だ。いつもと同じ鋭い視線を感じた。だが、美羽はそれに気づかないふりを通した。彼女にどう思われようと、自分の立場を変えることはできないのだから。
「ちょっと、聞いてるの?」
すっかり自分の世界に入り込んでいた美羽はその言葉にハッとして顔を上げた。その態度が余計に百井の機嫌を損ねたらしく、風当たりは更に強くなっていく。
「全く、そんなんで本当に専務の秘書ができてるの? 専務が何も言わないからって調子に乗らないことね。今までだって秘書は色々変わってきたんだし、あなただって時間の問題だと思うわ」
「…」
「何? その目は。言いたいことがあるなら言いなさいよ」
明らかに挑発的な発言をしてくる百井を尻目に、美羽は至って冷静に答える。
「自分の力量不足は充分自覚しています。ですが専務が私の力を必要としてくださっているからには精一杯それに応えるつもりでいますし、このスタイルについてもきちんとご理解いただいた上でお仕事させてもらっています。なので変える必要はないと思ってます」
「なっ、専務が本気でそう思ってると信じてるわけ? 本心なわけないでしょう!」
「専務が業務に差し障るからやめろと言われるのなら私はそれに従います」
「ちょっと、聞いてるの?」
すっかり自分の世界に入り込んでいた美羽はその言葉にハッとして顔を上げた。その態度が余計に百井の機嫌を損ねたらしく、風当たりは更に強くなっていく。
「全く、そんなんで本当に専務の秘書ができてるの? 専務が何も言わないからって調子に乗らないことね。今までだって秘書は色々変わってきたんだし、あなただって時間の問題だと思うわ」
「…」
「何? その目は。言いたいことがあるなら言いなさいよ」
明らかに挑発的な発言をしてくる百井を尻目に、美羽は至って冷静に答える。
「自分の力量不足は充分自覚しています。ですが専務が私の力を必要としてくださっているからには精一杯それに応えるつもりでいますし、このスタイルについてもきちんとご理解いただいた上でお仕事させてもらっています。なので変える必要はないと思ってます」
「なっ、専務が本気でそう思ってると信じてるわけ? 本心なわけないでしょう!」
「専務が業務に差し障るからやめろと言われるのなら私はそれに従います」