新・かみさまごっこ
その言動がぎこちなかったせいか、帰って相手に不信感を抱かせないかとも感じたが、

どうやらその心配はいらぬものだったようで、男は気にせずに会話を続けた。


「ふうん? その家族の所に行かなくて良いの?」

「はい、何やら大人のお話があるようですので。私は暇潰しです」

「そっか。丁度俺も暇だったんだ。その辺で話さないか?」


家族や親戚以外の異性と二人で話をするという事自体、

初めてであった志那にとってそれは未知なる体験であったが、断る理由もなく志那はそれをすんなりと受け入れた。


近くのベンチに腰掛け、二人は他愛もなく世間話をし始めた。

そこで志那は彼の名前が冴村蒼一(さえむら・そういち)であるという事、歳が自分より二つ年上の十八であるという事、

好き嫌いがほぼ一緒だという事、少し強がりな部分がある事を知った。

そんな楽しい時間もすぐに過ぎ去り、志那がふと時計を見ると、休憩終了まで残り五分となっていた。

遅れてしまえば南雲に迷惑がかかってしまう。

寂しさを感じつつも、志那はベンチからすっと立ち上がり、別れを告げた。
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