だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版





トンッ。




「あっ、おはようございます」


「おはよう。今日も全力疾走?またミーティング忘れてた、とか?」




背中を軽く叩かれたので振り向く。

目が合うと、意地悪く口の端だけニヤリと笑う。




「いつも全力疾走ですみませんね。おまけに忘れてましたよ、ミーティングのこと」




言い返すと、すぐに豪快に笑われる。

だからこの人憎めない。




「しっかりしろよ。もうすぐ主任なんだから」




櫻井圭都
(サクライケイト)。


うちの部署のチームリーダー。

意地悪いドSだけど、部長との阿吽の呼吸でこなす仕事量は凄い。


こんなにも仕事が出来る人に囲まれているのは、この上なく恵まれたことだ。




慌てて準備を整えてミーティングルームに向かう。

ガラス張りのミーティングルームを、私はとても気に入っている。



ガラス張りなので、外から見えないようについているブラインドも、お気に入りの理由の一つなのだ。




< 10 / 107 >

この作品をシェア

pagetop