だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
トンッ。
「あっ、おはようございます」
「おはよう。今日も全力疾走?またミーティング忘れてた、とか?」
背中を軽く叩かれたので振り向く。
目が合うと、意地悪く口の端だけニヤリと笑う。
「いつも全力疾走ですみませんね。おまけに忘れてましたよ、ミーティングのこと」
言い返すと、すぐに豪快に笑われる。
だからこの人憎めない。
「しっかりしろよ。もうすぐ主任なんだから」
櫻井圭都
(サクライケイト)。
うちの部署のチームリーダー。
意地悪いドSだけど、部長との阿吽の呼吸でこなす仕事量は凄い。
こんなにも仕事が出来る人に囲まれているのは、この上なく恵まれたことだ。
慌てて準備を整えてミーティングルームに向かう。
ガラス張りのミーティングルームを、私はとても気に入っている。
ガラス張りなので、外から見えないようについているブラインドも、お気に入りの理由の一つなのだ。