だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
ミーティングルームにはメンバーがそろっていた。
部長とチームリーダーをはじめとする企画営業部の面々だ。
メンバーは全部で七人。
営業が五人と営業事務が二人。
「おはよう」
素敵な身のこなしで、何故この人が秘書課じゃないのか?といつも疑問に想う。
部内のマドンナで、もちろん秘書ではない。
立派な営業事務。
「おはようございます」
三十五歳とは思えない若さと、優雅さを持ち合わせた人。
南 水鳥
(ミナミミドリ)さん。
女の私でも恐縮してしまうほどの完璧な女性。
水鳥さんと私。
この二名が営業事務だ。
並んでしまうと私の逞しさが際立ってしまうから悲しい。
華奢で細身の水鳥さんはスタイルまでも完璧。
『それなりの努力はしてるわよ』
といつか言った言葉が、それなりでないことくらい容易に想像がつく。
本当にそれなりだったら。
神様はこの上なく差別をしている、としか思えないほどだった。