だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
期待...キタイ
私の会社は広告代理店。
中小企業だけれど、ワンフロアーに二百人以上の社員を抱えている。
綺麗なオフィス。
今思えば、よくこんなところに就職できたものだ。
企画営業部はその中でも一番忙しい部署だ。
新しい企業開拓。
そこから、依頼された内容を構想段階から形にしていく。
映像系の仕事はもちろん、広告などの仕事もする。
うちの会社のウリは
【足を留めてもらう一言】。
一枚のただのポスター。
そこに載せられた言葉と想い。
大切に作られた作品は、人々の印象に残っていくのだろう。
良いコピーと良い映像、画像。
大型のイベントの受注ともなれば、それこそ一大プロジェクトだ。
今回の仕事は大手ジュエリーメーカーのウェディングイベントと広告。
中小企業にどうしてこんな大きな仕事が?というくらい大型のプロジェクトだ。
ミーティングを繰り返し、各部署の敏腕営業やらクリエイターやらと協力することから始めていかなくてはいけない。
そんなプロジェクトに選ばれてしまったプレッシャーは、半端じゃない。
ハズなのに。
『なるようになる』としか考えない。
それが、自棄に切なく想えた。
この会社のために必死になるしかない、と想いながら。
どこか他人事のように感じていた。