だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
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「・・・れ。・・・・・・・ぐれっ!」
薄く、ゆっくりと目を開ける。
「しぐれっ!!!!!!」
「きゃああぁぁぁ!!!」
すぐ近くに櫻井さんの顔がある。
驚いて叫んでしまった。
「ぅわああぁぁぁぁぁ!!!!」
「っ何してるんですか!!!」
「何って、お前が目を瞑ったまま動かないから心配してやったんだろう!叫ばれれば誰だってびっくりするだろう!!」
それもそうだ。
少し落ち着いたら、なんだか理不尽な事をしたのは自分のような気になってしまった。
恥ずかしすぎて声が大きくなってしまう。
白昼夢。
眩しさの中にある、わずかな蔭り。
その蔭りが、私の意識を遠い昔に連れて行ってしまった。
「・・・すみません。少しぼんやりしていて」
理不尽な対応をしたのは自分なので、素直に謝る言葉が口から零れた。
申し訳ない気持ちも本当だけれど、見透かされたくない、という気持ちも強かった。
大人しくしておかないと、櫻井さんは絶対に気付いてしまう。
なんだってこんな時に、白昼夢なんて見てしまったんだろう。
最低。