だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
同僚...ドウリョウ
「確かに、お前が男だったらモテそうだな」
「はぁ???」
「決断力もあるし、人当たりもいい。女心とかも、敏感そうだしな」
「当たり前でしょ!私、女なんだからっ!」
「・・・それもそうか」
「何よ、その『そういえば女だったな』みたいな顔」
「別にそんな顔してない」
「じゃあなんで私が女だって納得する前に、ちょっと沈黙があったのよっ!」
「・・・気のせいだ。まぁ、少し男らしいが・・・」
真面目な顔をして何を言うかと思っていたら。
そんなことを言いたかったのか、と愕然とする。
物事に慎重で、本当に伝えたいことしか言わないのを知っているから、余計に腹立たしく思う。
それ以上に、とても悲しくなった。
「森川にまでそんな風に言われるとは思わなかったわ」
「そんな風、って。俺は思ったことを言ったまでだ」
「尚、悪いわ」
「褒めてるのにか?」
森川は心底不思議そうな顔で私を見つめる。
じっと見つめるその瞳には、疑問の色が滲んでいる気がした。
私は、と言えば。
その言葉が私への『称讃』であることに心底驚き、信じられないという思いを込めて森川を見つめた。
同期にこんな風に言われるなんて、私一体どんなポジションにいるんだろう、と考え込みそうになっていたのに。
全く。
森川らしいんだから。