だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版





営業メンバーの森川輝
(モリカワヒカル)。

メンバーの中でも櫻井さんが育てた腕利きの存在。

同期ではあるけれど、年齢は私よりも一つ年下。


大人しそうな風貌に似合わない野心的な目が特徴。

森川の目はどこか人を惹き付ける力を持っている。


黒目が大きなまるっとした目で。

耳に少しかかるくらいの髪の毛も嫌味なく爽やかに見えるから不思議。



特別綺麗な顔立ちなわけじゃないのに。

纏う雰囲気が、少しだけ近寄り難さを出している。




「お前が男でも女でも、モテることに変わりはないだろ」


「・・・はぁ?」




何を言い出すかと思えば、また訳の分からないことを。

心の底から自分のポジションがわからなくなりそうだった。

というか、森川の頭の中で私はモテる部類なのか?

水鳥さんがいるのに?




「ブハッ!!!!・・・っもう限界ッス!!!」


「クククッ・・・、いやぁ面白かった。何なんですか、その会話」


「何っでそんなに涼しい顔してられるんですかっ・・・!腹イテェ・・・あっははははっ!!!」


「ホントですよ。時雨さんが男でも女でも変わらない、みたいな言い方。そんな言い方していいんですか?森川さん」




弾けるように残りの二人が爆笑した。

もう少し遠慮して笑えばいいのに、遠慮なく笑ってくれちゃって。

後でシメておかないとね。



当の本人はと言えば。

爆弾発言をしたにも関わらず、涼しい顔で疑問符を浮かべていた。




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