だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
パソコン画面に並んだその文字に、小さく頷いて給湯室へ向おうと思った。
さっと離された手が、すぐにパソコンと資料をいったりきたりしている。
頭の中でしっかり考えているので、それを形にするように吐き出すのは森川にとって簡単なことなのだろう。
どういう頭の構造をしてるんだか。
必死にプレゼン資料を作成しながら、第一と内線電話で打ち合わせをしている。
聞いているこちらは、内容を理解することは出来なかった。
営業の仕事については、ある程度把握しているはずなのに。
情けない話だな、と思いながら仕事に夢中の森川を見ていた。
オフィスを出て給湯室に向かう。
給湯室のドアを開けると、冷蔵庫がウィーンと唸っている音がした。
就業時間も終わりに近づいているので、ある程度の片づけをする。
誰がする、と決まっているわけではないけれど、何となく習慣になっているので気が付くと片づけていたりするのだ。
シンクの周りを拭いて、ふと冷蔵庫を見つめる。
ココアは邪魔になるだろうから、森川にはとっておきのチョコでも差し入れてやろうと思う。
甘すぎないチョコレートは給湯室の冷凍庫に沢山詰まっているのだ。
冷凍庫は周りの人があまり使わないので、スペースが結構余っているから使いやすい。
冷たいチョコはきっと気分を軽くしてくれるだろう。