蒼夏の刹那
「……いや」



無意識に口から出た言葉は否定。



「藍花……」

「ちがう……蒼はここにいるんだもんっ!」



そう叫んで店を飛び出す。



蒼は必死で名前を呼び続けていたけど、すぐ追いかけては来なかった。



でも、今蒼が来たらまた泣いてしまいそうで。



一体涙がこの体にはどれくらい残っているんだろう?



そんな事をぼんやり考えながら、とぼとぼ道を歩いていると背後から声がした。






「椎名」






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