蒼夏の刹那
それから私を真ん中にして、蒼い空の下三人で並んで歩く。



特に会話もなかったが、それぞれの心にそれぞれが今という時を刻んでいた、忘れないように。



もう、三人で歩くのはこれが最後。



今日が、最後……



学校に着き校門をくぐる。夏休み中でも本を借りに訪れる生徒のために、図書室だけは開放していた。



校舎の階段を黙ったまま歩く。



一緒にいられれば、それだけでも私たちにとって、十分だったかもしれない。



今も外で鳴く蝉が、私たちの夏の終わりを告げていた。



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