蒼夏の刹那
図書室の扉を開け足を踏み入れる。



「懐かしいなあ、やっぱり変わらんってええな」

「……蒼」

「さてと、久しぶりに花の図鑑とか読もかなあ」



笑みを浮かべて蒼は園芸の本がある棚の方へ消えていった。



「椎名、大丈夫だよ」

「え……?」



不安が顔に出てしまっていたのか、速水くんはそう言って奥の方にいるであろう先生に本を返却するため、その場を一端離れた。



「速水くんって、私たちの事……本当によく見ててくれるんだな」



私はそれだけで、気持ちが楽になり蒼がいる棚の方へ向かう。



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