蒼夏の刹那
立ち読みしてる蒼の顔は真剣そのもので、私が来た事にも気づかない。



私は蒼に声をかけるべきか迷っていると、蒼が静かに図鑑を閉じた。



「……藍花、明日海行かへん?」

「蒼、気づいてたの?でも、どうして海?蒼なら花だと思ってたから……ちょっとびっくりしちゃった」

「ん〜なんとなくや。それに、夏やったらやっぱり海やろ?藍花は海嫌か……?」

「嫌いなわけないでしょう?もう、そんな顔されたら断れないよ〜」

「じゃあ明日バス停で待ち合わせな、朝の6時半はどうや?」

「は、早いね……」

「ええやんええやん。夏休み中は、バスも臨時で出とるし」

「うん……わかったよ、じゃあ明日頑張って起きなきゃ」

「藍花なら楽勝やろ」



蒼と交わした最後の約束。



約束を交わした後、速水くんが戻って来てまた、何冊か本を借りていた。



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