蒼夏の刹那
公園に着くと、誰もおらず真っ先にベンチに座った。



昔は綺麗な緑色だったベンチも、今では所々剥げている。



私を真ん中にして三人で座ると、蒼が待ちきれないようにお弁当の入ったトートバッグを覗き込む。



「蒼、落ち着いたら?」

「いやいや、落ち着かれへんて。藍花の作った弁当やで!?」



やれやれと速水くんは苦笑し、私はくすくす笑う。



お弁当箱を取り出し、ふたを開けると真っ先に蒼が卵焼きを手でつまみ、口に入れる。



「さすがおれの藍花、料理の才能あるんちゃう?」

「ふふ。誉めすぎだよ、速水くんはどう?おいしい?」



私が速水くんの方を見ると、トマトと鶏肉のおかずを丁度食べていて――にこりと微笑む。



「おいしい。思った通りだった」

「よかった」



こんな風に楽しくお弁当を食べるのは、久しぶりで思い出話に花が咲き、気がつけば夕方になっていた。



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