蒼夏の刹那
今頃蒼は何をしてるんだろう、と思う時がある。



夢だったら、寝て覚めたら――いるんだろうけど。



もう、それは絶対ありえない事なんだよね。



蒼はもういないから。



夏も終わったのに、まだ残暑が厳しくそれが夏を思わせ季節を惑わせる。



「……もし、あの夏に続きがあるのなら」



一体どんな未来が待っていたんだろう。



「……これも今更か」



そう呟いた時、藍花が何か茶色い袋を抱えて走ってくるのが見えて、思わず立ち上がる。



「藍花、走ったら……あ」



……転んだ。



お約束通りな展開になってしまい、とりあえず藍花を抱き起こす。



< 78 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop