蒼夏の刹那
【蒼編】すべてを失くした日
あの日、おれは初めて雑貨店にドキドキしながらいった。
藍花を誘わなかったのは、もうすぐ誕生日でサプライズをしてあげたかったから。
店はピンクの建物で、扉にはレース、ディスプレイにはクマのぬいぐるみが飾られとって、おれは思わず立ち尽くしてしまった。
男のおれが、こんなかわええ店入ってええんやろか……なんや、めっちゃ場違いやないか?
おれが店前で悶々と悩んでいると、中から優しそうなお姉さんが声をかけてくれた。
「よかったら、中へ入って見てください」
「え……あの、中……誰かお客さんいますか?」
「いませんよ?」
「そ、そうですか!ほな絶対入りますっ!」
「はあ……?」
思わずガッツポーズをしたおれに、お姉さんは不思議そうな顔をした。
藍花を誘わなかったのは、もうすぐ誕生日でサプライズをしてあげたかったから。
店はピンクの建物で、扉にはレース、ディスプレイにはクマのぬいぐるみが飾られとって、おれは思わず立ち尽くしてしまった。
男のおれが、こんなかわええ店入ってええんやろか……なんや、めっちゃ場違いやないか?
おれが店前で悶々と悩んでいると、中から優しそうなお姉さんが声をかけてくれた。
「よかったら、中へ入って見てください」
「え……あの、中……誰かお客さんいますか?」
「いませんよ?」
「そ、そうですか!ほな絶対入りますっ!」
「はあ……?」
思わずガッツポーズをしたおれに、お姉さんは不思議そうな顔をした。