彼女
車はくねくね道をどんどん登っていく。
ここは田舎だ。
オレが住んでいる所は平たんでちょったとした町中だ。
けれど…ちょっと車を走らせれば緑が生い茂る山道へと入る。
昨日の雨のお陰なのか木々の緑がまぶしいくらいにキレイだ。
彼女はどこまで行くのだろう。
彼女は黙ったままだ。
車が止まる。
「見て!」
彼女の瞳がオレを通り越している。
オレは彼女が見ている方向に目を向ける。
「すっげー!!!」思わず叫ぶ。
そこはオレの住む小さな町が一望できる場所だった。
建物がごちゃごちゃとしながらこじんまりと密集している。
「でしょ!でしょ♪」
彼女はすごく嬉しそうだった。
「オレ初めてきたよ。こんな眺めがいい場所があったんだ。」
「そうだよ。いいでしょ♪
夜はね、夜景がすご~くきれいなんだよ。」