彼女
彼女はオレの腕の中で静かに泣いている。
すごく年上なのに可愛い。愛おしい。
彼女の為に何かしてあげたい。
でも今のオレはこうしているのが精一杯だった。
どれくらい抱きしめていただろう…。
「ごめんね。達也くん優しいから、つい甘えちゃった。」
泣いた後に無理に笑う彼女が愛おしい。
「キスしてもいいですか?」
オレとんでもない事口走ってる。
ヤバい!
言っておきながら驚いてる馬鹿なオレ。
え?
さらに衝撃!!
瞳を閉じた彼女がいる。
オレは迷わず更に彼女をギュッと抱きしめ…それから…
唇をあわせた。
彼女の唇は柔らかくて、そして…涙の味がした。
外の景色は夕焼け空に変わっていた。
うろこ雲が所々薄いオレンジ色に染まっている。
キレイだった。