彼女
静寂の中…
オレはぼんやり天井を眺めている。
「こんな事になってしまってごめんね…。」
遠い目をした彼女が言った。
「何言ってんだよ!オレが望んだ事だよ!!」
そう言いながらオレは彼女を抱き寄せた。
「だから…謝らないでくれよ…。」
彼女は少し驚いて…それからオレの胸で小さく頷いた。
「でも…私も結局ダンナと同じ事しちゃった。
負けちゃったよ。自分に…。」
オレはその事には触れず
彼女をギュッと抱きしめてから
首に腕を通した。
「やってみたかったんだ。この…腕まくら。」
「そうなの?」
彼女はいたずらっぽく笑うとオレの胸にしがみついて
それから
鼻と唇をオレの首筋にくっつけて…
「ありがとう。タンタン優しいね。」
と呟いた。
少しくすぐったかったけど
何だか幸せな気分になっていた。