彼女




「どうかした?」

少しして彼女の方が口を開いた。




「何も……。」

そう答えるのが精一杯のオレ。

別に、どういう事なのか聞けばいいだけなのに…な。



「何飲みたいか聞くの忘れてたよ。
コーラ買ってきたの。飲む?」

「あ、飲む飲む。」

「よかったぁ。でも飲めないって言ってもまだ他にもいろいろ買ってきたから大丈夫だよーん!!」
そう言うと彼女は買い物袋を出して見せてくれた。

スポーツ飲料や紅茶、フルーツジュースetc.……。

「こんなにどーすんの?」

彼女は子供っぽく笑うと
「今、これから、ぜーんぶ飲むんだよ。
なーんてネ。
…家に持って帰ればあっという間になくなるし。」


「そっかぁ。」


そうだった。彼女の子供が飲むか。





オレの知らない雅美という人間に戻って…。



何となく現実に引き戻された感じがした。



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