彼女




「謝らないでくれよ。
オレがあっこちゃんといたいんだ。
オレが望んだんだ!」


「ダメだよ。
私はタンタンが思っているような人間じゃないの。」


そう言うと彼女は脇道に入り車を停めた。



「オレは今のあっこちゃんが好きだ。
他に何があるっていうんだよ。」



「そうだ、タンタンと私、今までで何回会った?」



「今日で5回目…。」


「…たったの5回。それじゃ、まだわからない事の方が沢山あるの。」



「知ってるよ。」



「何を?」


オレは思い切って言ってみた。


「例えば…そうだ…あっこちゃんは…雅美…さん…って事とか?」


彼女はすごく驚いているようだった。


「知ってたの?」


でも、すぐ冷静になった。
大人だ。


「知ってた。」



「そっかぁ……。」




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