彼女
大きな雨粒がウインドガラスを打ちつけている。
雨音以外何も聞こえない。
後聞こえるのは彼女の声だけ。
「まさかとは思ったけれどあなたが私に興味を持った事はわかったの。
だから…平静を装ってあなたに近付いたの。
私の中では必死だったけど。」
「その時はオレを利用する事しか考えてなかった?」
彼女は小さく頷いた。
「本当にごめんね。仕返しの手段にしか考えてなかった事は事実だから。
でもね…。」
「でも?……。」
オレは彼女が言おうとしているコトバに何か期待している。
「ダメ。」
「??…何が?」
「あなたのその目。」
「?オレの目?」
「そう。その純粋というか…まっすぐな目。
多分その目に惹かれてしまったんだと思う。
振り回すのが目的だったのに…あなたの事が気になって……気になって仕方がなかった。
もう、自分の気持ちがわからなくなっていた。」