彼女
…それって……。
彼女も本気でオレの事考えていてくれたって事なのか?
もし、そうなら…正直、嬉しい。
確かめてみたかった。
「雅美さん…オレの事……。」
彼女は一点を見つめたままだ。
長い沈黙の後だった。
「……好き…だと思う。あなたの事。」
オレが期待していた通りの答えだった。
そうならいいのに、と思っていた答えだった。
この先、未来の無い恋だとしても、今この瞬間、お互いを大切に思える事が嬉しいと思えた。
それからオレ達は自然に唇を重ね合わせた。
激しい雨の中、誰にも邪魔されないふたりだけの空間の中にいた。
彼女を抱きしめながら、このままずっと、こうしていたいと願う自分がいた。