彼女



物凄い地響きがした。少し車が揺れた。多分ここからそう遠くない所に雷が落ちたんだろう。



彼女は少し怯えたようでさっきより強くオレにしがみついていた。


オレだって驚いたけど彼女を抱きしめている事と彼女のぬくもりで強いオレでいる事ができていた。

それから…彼女と二人なら、このまま雷に打たれてしまってもいい、とさえ思っていた。
車の中だからそんな余裕を考えていられたのかも知れないけれど。



「怖かった…。」

彼女がつぶやいた。

「今の?」


彼女がオレの腕の中で小さく頷く。


「だぁい丈夫だよ!車の中にいれば雷に打たれやしないよ!」

オレは更にギュッと彼女の肩を抱いた。


「わかってる…でも…怖かった。」



「オレがいるじゃん。」


「そう、だから…少し怖い位で済んだんだよ。
タンタンがいてくれてよかった。
心強いよ。」


「オレも、あっこ…じゃない雅美さん、といると強くなれる!!」
あ~呼び慣れないよ!心の中で叫んだ。
< 61 / 65 >

この作品をシェア

pagetop