彼女
そんなオレの気持ちを彼女は察しているようだった。
「あっこちゃんでもいいよ…。」
「う…ん。
いや、ダメダメ。
雅美さんは雅美さんだ。
あっこちゃん…なんて呼んだら…つらいよ…お互いに、じゃない?」
「タンタン……。じゃあ、私もタンタンやめる。」
「え?!」
「‘タンタン’って呼ぶのやめる。」
「それは……ぜんっぜんOKだけど、むしろ嬉しかったりするけど、急にどうしたの?」
「それは……
それはね…
……あなたのお母さんのメールのアドレスの一部に‘tantan’って入ってるでしょ。
それで、私思ったの。
もしかして達也君の事かなぁ…って。
想像だけで‘タンタン’って言ってみた。そしたら当たってた。
きっと…明子さんはあなたの事大切に育ててきたんだなぁって思った。」
「大切に…かは知らないけれど…そう言えばアドレスに入ってたかな。
親父のアドレスには妹の名前が入ってるよ。」