翼~開け放たれたドア~
ふと、龍也は壁に掛かった時計を見て、

「時間だな」

と、呟く。

雷もそれに反応して、

「んじゃあ行ってこい!
 ここにはいつ来ても良いから!
 これ、屋上の鍵」

私の手に、綺麗な鍵を乗せた。

「屋上…」

「お前、考え事するときとか、なんもしてない とき空みるだろ?だから、貸してやるよ」

好きなんだろ?と言う雷の言葉。

確かに、なんでか気がつけば空を見ている。

真っ白な雲。透き通った青。

羨ましいのかな。空が。

だけど、私には分からない。

“好き”って、なんなんだろう?



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