翼~開け放たれたドア~
「……るき……春輝」

「ふぁ…」

目を開けると雷の顔のどアップ。

「雷…近い」

「春輝が起きないからさー」

起きないのと顔が近いのになんの関係があるっていうんだろう。

「9時30分だ。そろそろだぞ」

「ん…」

目を擦りながら起き上がる。

雷が部屋を出て行ったから、着替えをすることにした。

黒いショートパンツに黒いパーカー。

パーカーはもちろんフードがついている。

靴は適当に運動靴をはいている。

「…行くか」



部屋をでるとすぐにあるリビングに雷がいた。

「お、いってくるか」

私はコクリと頷いた。

「気をつけろよー。いってらっしゃい」

「……ん。いってくる」

雷の笑顔に、フードを深くかぶった私の頬が少しだけ緩んだのに、たぶん雷は気づいていない。
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