翼~開け放たれたドア~

水風の事件の真相

「wingは、そうだな…。
本来なら背負わない罪を背負っている」

「罪…?」

本田飛鳥が呟いたのに俺は頷いた。

「そうだ。
普通なら背負わない…いや、背負うべきではない罪を…、背負わざるを得なかったってとこだな」

wingのパーカーの模様、知ってるだろ?と言うと、「片翼の翼と、鎖と十字架ですよね?」と品川直を念を押してきた。

俺はそれに「そうだ」と返して話を続ける。

「wingは、言うなら籠のなかの鳥なんだ。
翼だってあるし、籠のドアだって開いてるのに、飛ぼうともしないし、出ようともしない」

春輝は今も籠のなか。

ただうずくまってその瞳に何も映さない鳥のように、飛べずにいるんだ。

「ただ…、罪を償うために命令に従うだけ」

あの人の、残酷な命令を。

「命、令…」

信じられないといった様子だが、これは事実。

「じゃあ…水風のことも?」

「……あぁ」

相澤空夜の問いかけを肯定すれば、考え込むような表情を浮かべる奴ら。
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