翼~開け放たれたドア~
「あれは…wingもたじろいだ。
それはやるべきじゃないと考えていた」

でも、あの人はそれを許さなかった。

「でもな、命令には逆らえない。
あー…、ちげーな。
逆らうことを知らなかったんだな。wingは」

春輝にとってあの人は“恐怖”以外のなにものでもない。


俺だって、怖いと思ってるんだからな。

解放された…今でも。

「それにな…wingだって、ただ水風を潰したんじゃねえぞ?」

「「「え?(は?)」」」

その場にいた全員がまぬけ声をあげた。

「お前らにいってる情報だと、“wingが水風を潰した”としかないだろ?
でもそれだけじゃねぇんだよ。
前のwingの情報があるだろ?
やられた族の構成員のほとんどが病院送りになるほどの怪我を負わせるって。
だが水風は、確かにぱっと見、出血がひでーように見えるがな、全員軽傷だった」

気絶して横たわっていたのを見た奴がちゃんと情報を確認せずに流したデマだ。

“wingが水風を潰した。全員病院送り並みの怪我”だなんて。

本当は、止血程度の軽い怪我だけだ。
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