翼~開け放たれたドア~
だけど、こいつには聞こえたらしい。

「雷、お前気をつけろよ…」

この、呆れた声を投げかける龍也には。

「バレたらお前のせいだぞ?」

「今のはただちょっとミスっただけで…」

「よく言うよ。総長やってたときもよく独り言ぶつぶつ言って、俺の誕生日パーティーのこと内緒だったのに普通に俺にバラしたじゃねーか」

「あ、あれは若かりし頃の過ちってやつで…」

精一杯の俺の弁論をこいつは

「今もやっちゃってたのにか?もうお前成人とっくにしてるだろ?」

バッサリと切り捨てやがった。

「血も涙もねぇ…。だからお前“氷王ヒョウオウ”って通り名がつくんだよ」

春輝にはすんげー甘いのにさー。

「お前はそんなんだから“乱王ランオウ”って言われるんだよ」

「強いってことだろ!いいじゃねーか!」

「暴れることしか取り柄がねぇからだろ」
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