翼~開け放たれたドア~
~空夜 side~

ベッドで眠る春輝の寝顔を見つめる。

いつもより穏やかな顔をしている春輝は、年相応の…、いや、それよりも幼く見える。

そのあどけなさに、俺は少しだけ微笑んだ。




あのあと、龍也さんは仕事があるからってって職員室に行っちまったし、雷さんも会議あるからと飛び出していったし。

理事長室(ここ)のベッドルームに春輝を寝かしてすぐに、

「おい、相澤空夜!春輝のこと頼んだぞ!!」

そんな捨て台詞のような言葉を残して。

んで、他の奴らは倉庫に行かせて、俺1人で春輝をみている。

なんで1人で、と言われればそれは…。

「……ふっ、かわいいな」

俺の右手には、春輝の左手がしっかり。

雷さんに運ばれたあと、ベッドに乗せた俺の手に熱を感じ見れば、春輝の手が握られていた。

それをみて、胸になんか熱いもんがこみ上げてきて、一人占めしたいと思った。

だから1人でいる。
< 170 / 535 >

この作品をシェア

pagetop