翼~開け放たれたドア~
わからないと言って苦しそうにしていたのが嘘みてぇだ。

悩んで、悩んで、苦しんで。

それでも、きちんとこいつは見つけたんじゃねえのかな。

大切な気持ちのうちの1つを。

「雷、龍也、あとwing。それから、空も好き。
あと…」

春輝は急に言葉を切ると、飛鳥、直、秋人、蓮をジーッと見渡し、それから俺の手にまたすり寄ると、

「王覇のみんなもね、好き」

ポツリと呟くように言った。




──ドックン!

まただ…。

まるで心臓を鷲掴みされたような、苦しいのにどこか嬉しいっつーか、でもそれとは違うような、そんな痛みに支配される。

わっかんねぇ…なんだこれ。

なんか、大切なことのような気がすんのに。

俺は…。
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