翼~開け放たれたドア~

緑華

「…さむ」

「もう冬だなー!!!」

飛鳥の大声に、なんでいつもこんな元気なんだろうと逆に感心してしまう。

もう季節は冬だ。

ハァ…とはく息は白くなり、冷えて透明な空気のなかで消えた。

王覇のみんなと出会ってもう1ヶ月以上たった。

あれから変わったことと言えば、木から葉が落ちてしまったこととか、寒くなってきたこととか…。

そんくらいかな。

「飛鳥ぁー、寒い…」

「んじゃあ、はいっ!」

両手を広げてくる飛鳥に首を傾げる。

「ほらほらっ、おいでー」

あ、そっちにこいってことか。

1人納得して飛鳥のほうへと歩み寄る。

「ははっ!」

飛鳥は嬉しそうに笑って、ギュッと私を抱きしめた。

「こーしてれば温かいだろ?」

「ん。飛鳥、温かい」

その胸に顔をうずめる。

伝わってくる体温が心地よい。

と、そのとき

「…飛鳥。春輝を離せ」

ドスが効いた低い声が飛鳥の身体を震わせた。

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