翼~開け放たれたドア~
「お前らなぁ…アホか」

「とりあえず座れ」と言われ、2人は渋々ソファーにそれぞれ座った。

「いつもは仲いいんだけどな。こいつ…信はな、眠いとよく喋るんだよ。
いつもは冷静なんだがな。
んで、言い争いが始まるんだよ。わりぃな」

そう言って藍色を指差す結翔。

言われて見れば、言い争いが終わった今、確かに瞼が少し下がりつつある。

「とりあえず自己紹介しろ。そのあと寝てもいいから」

その言葉にピクリと身体を反応させた藍色は、

「……相原 信弘ノブヒロだ。好きに呼べ」

それだけを言って、そのままソファーに寝転がると寝息をたてはじめた。

……その間、ものの数十秒。

「…寝るの早」

「…ま、こーゆー奴なんだよ」

「睡眠は大事だよねー」

実にのんびりとした話。

ま、この感じは嫌いじゃないけど。

「で、あんたは?」

「あ、僕は川上 優太!!幹部だよ!
ちなみに、副総長は信なんだよー」

「へぇ…」

信弘と優太…ね。

「よろしくね!wing!!」

差し出された手に戸惑う。

目の前の顔はニコニコしていて、なんだか眩しく見えた。

「ほら、握手握手!」

強引に手を掴まれ、ブンブンと上下に揺らされる。

なんか、王覇の人たちみたい。
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