翼~開け放たれたドア~

動き出す何か

──カタカタカタカタカタカタ…

「…どうだ?」

──カタカタカタカタカタカタ…

「んー…」

──タンッ!

最後にエンターキーを叩く。

どこか心地よい音が部屋に響き、パソコンの場面にいくつかの情報が映し出された。

「はーっ、できた」

詰めていた息をはきだし、大きく伸びをする。

ギシッと、イスがきしめいた。

「さっすが春輝。一発だな」

雷はどこか嬉しそうだ。

でも、私はそんなに気分が上がらなかった。

「…少なすぎる」

緑華の下っ端を闇討ちしてる奴らの情報をハッキングした。

だけど、ここ最近の出来事ってことと、目撃情報がほとんどないことから、情報はほんの一握りしかない状態。

…しょうがない。めんどくさいからやりたくなかったけどな。

……動くか。

「雷、夜集めるから」

その一言でも雷には十分伝わる。

「わかった。気をつけろよ?」

…ほらね。
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